ウンシュウミカンの高品質果実生産には,樹体に乾燥ストレスを付与するシートマルチ栽培が用いられている.しかし,根域に雨水が流入しやすい園地の形状や,根が通路に伸長することで,十分な乾燥ストレスが付与されないケースが多くみられる.そこで,排水設計した園地において,専用のS.シートで植列を囲いシートマルチ栽培を行う,シールディング・マルチ栽培(S.マルチ)を開発した.本研究は,この技術の確立と有効性を検証した.まず,S.シートの規格を決定するため,幅の異なる2種類のS.シートを用いて3か年の果実品質から有効性を検証した.その結果,幅500 mmのS.シートを用いた処理区で毎年糖度の高い果実が生産されたことから,このサイズがS.マルチに適したシートと考えられた.次に,S.マルチによる樹体への乾燥ストレスと根域の土壌水分の影響について調査した.その結果,樹体の乾燥ストレス指標である葉内最大水ポ...